給与明細を見ると、「総支給額」と「差引支給額(手取り)」の間にかなりの差があります。会社員の場合、手取りはおおむね額面の75〜85%。残りは税金と社会保険料として差し引かれています。
ここでは、40歳未満・独身・年収500万円(うち賞与100万円)の会社員を例に、何がいくら引かれているのかを見ていきます。数字は手取り計算で計算したもので、健康保険は協会けんぽ(東京都)の料率を使っています。
年収500万円の内訳
| 項目 | 年額(目安) | 割合 |
|---|---|---|
| 健康保険料(子ども・子育て支援金を含む) | 約25.8万円 | 5.2% |
| 厚生年金保険料 | 約46.5万円 | 9.3% |
| 雇用保険料 | 約2.8万円 | 0.6% |
| 所得税(復興特別所得税を含む) | 約11.8万円 | 2.4% |
| 住民税 | 約24.1万円 | 4.8% |
| 手取り | 約389万円 | 77.8% |
差し引かれる金額の半分以上は、厚生年金と健康保険の社会保険料です。税金(所得税と住民税)は合わせて約36万円で、社会保険料の半分程度にとどまります。
1. 健康保険料
病気やけがの医療費を支える保険料です。毎月の給与から「標準報酬月額」という等級を決め、それに保険料率をかけて計算します。協会けんぽの料率は都道府県ごとに違い、会社と本人で半分ずつ負担します。2026年4月分からは、少子化対策の財源として子ども・子育て支援金も医療保険料とあわせて徴収されるようになりました。
2. 厚生年金保険料
将来の年金のための保険料で、料率は18.3%(本人負担は9.15%)で固定されています。標準報酬月額には上限(65万円)があるため、月給がそれ以上でも保険料は増えません。
3. 雇用保険料
失業したときの給付や育児休業給付などのための保険料です。給与と賞与の総額に料率をかけて計算し、ほかの保険料と比べると小さな金額です。
4. 介護保険料(40歳から)
40歳になった月から、健康保険料に介護保険料が上乗せされます。同じ年収500万円でも、40歳以上では年間約4万円の負担が増え、手取りは約386万円になります。
5. 所得税
所得税は、給与収入から「給与所得控除」を差し引いた給与所得をもとに、さらに社会保険料控除や基礎控除などを差し引いた課税所得に税率をかけて計算します。
令和7年度の税制改正で、給与所得控除の最低額が55万円から65万円に、所得税の基礎控除が合計所得に応じて58万〜95万円に引き上げられました。年収500万円の場合、課税所得は約213万円、税率は10%です。
6. 住民税
住民税は、所得に10%をかける「所得割」と、定額の「均等割」(森林環境税を含めて年5,000円が標準)の合計です。住民税の基礎控除は43万円で、所得税より小さいため、課税所得は所得税より少し大きくなります。
住民税は前年の所得に対して課税され、6月から翌年5月までの12回で給与から天引きされます。そのため、社会人1年目は住民税がかからず、2年目の6月から手取りが減ったように感じます。
手取りを増やすには
税金や保険料は所得に応じて決まるため、手取りを直接増やす方法は限られていますが、次のような制度で税負担を軽くできます。
- iDeCo(個人型確定拠出年金):掛金の全額が所得控除になり、所得税・住民税が減ります。
- ふるさと納税:寄附額から2,000円を引いた分が税金から控除され、返礼品を受け取れます(上限額の計算)。
- 医療費控除・生命保険料控除:年末調整や確定申告で申告すると税金が戻ります。
給与明細の数字の意味が分かると、昇給や転職、働き方を考えるときの判断材料になります。ご自身の年収で、手取り計算を試してみてください。
計算は、協会けんぽ(東京都)の健康保険料率9.91%、介護保険料率1.59%、子ども・子育て支援金率0.23%、雇用保険料率0.55%を前提とした概算です。実際の金額は加入している健康保険や自治体、各種控除によって異なります。
